プロジェクトストーリー

白山ろくテーマパーク 手取渓谷に架かる「大巻どんど橋」

大巻どんど橋は、白山ろくテーマパークの吉野園地と手取渓谷を挟んだ対岸の鳥越園地とを結ぶ橋長96.0mの吊橋です。この吊橋は、外ケーブ併用PC吊床版橋という構造形式を国内で2番目に採用した珍しい橋です。設計のコンセプトは、手取渓谷の水や緑、雲竜山や白山など、周囲の自然景観すべてと調和させるようデザイン性を重視しました。手取渓谷の自然を一望できる橋からの眺めは絶景で、満点の星空や見事な紅葉なども美しく、天気がよければ白山も望めます。
詳細設計にあたっては,当社の構造、地盤、景観、環境の各部署が総力をあげて取り組みました。平成21年には社団法人全日本建設技術協会・全建賞、石川県第16回いしかわ景観大賞に選定されました。

■「大巻どんど橋」命名の由来

梅雨の大雨になると、手取川のこの地で大きな渦が巻いて、川上から流れてきた木が集まり、それをみんなが拾い集めた場所ということで「大巻」と呼ぶようになりました。また、このあたりの道を牛が通ったり、人が足で強く踏むと太鼓の音のようにドンドンと聞こえたので「どんど」と呼ぶようになりました。これら昔からの呼び名を合わせ「大巻どんど橋」と命名されました。

■プロポーザル方式で当社の提案が選定され、詳細設計へ

大巻どんど橋は、プロポーザル方式で当社の技術提案が審査委員会で選定され詳細設計に取り掛かったものです。審査委員会では景観及び環境に配慮した吊橋の設計方針が求められ,当社は「風景のなかに溶け込み、出来るだけ線が細く、橋の構造自体の存在を感じさせないように透明感を持たせるとともに、利用者のニーズを配慮した形式」を設計方針とし、これを実現させる吊橋として「外ケーブル併用PC吊床版橋」を提案しました。詳細設計では利用者のニーズに配慮するため緩やかな橋面の縦断勾配を確保しましたが、縦断勾配を緩くするとPC吊床版にプレストレスが入りづらいため、PC吊床版を橋台に固定せず支承を介して橋台に支持させ、PC吊床版本体に直接プレストレスを導入する内ケーブルも配置しました。最終的には2種類の外ケーブルと1種類の内ケーブルを配置しました。

■手取渓谷の植物調査 ー貴重種の位置を現地で確認し橋台の位置を選定-

設計にあたり手取渓谷の両岸で植物調査を行いました。調査は春と秋の2期に実施し貴重種の生育の確認地点を記録しました。橋台の位置を選定する際には植物調査の結果を考慮し貴重種に影響を及ぼさないように計画しました。

■手取渓谷の自然環境を守るため懸垂架設工法を採用

架設方法は、手取川河川敷に施工ヤードなどを必要としない懸垂架設工法を用いました。この工法により自然環境豊かな手取渓谷へ影響を及ぼすことなく安全に工事を進めることができました。

懸垂架設工法(第1外ケーブル上でのPC吊床版の送り出し)
懸垂架設工法(PC吊床版の送り出し完了)
手取川河原からの完成写真

■白山ろくの豪雪地域 -積雪深3mの雪荷重への対応-

白山ろくは豪雪地域として知られています。このような豪雪地域では橋の供用期間中に想定される最大の積雪深に相当する雪荷重を見込む必要があります。設計では既往の観測値の最大積雪深を見込むこととしました。ただし、この状態は稀にしか生じないため設計許容値の割り増しを行いました。そして、雪荷重には下側に大きく湾曲した(サグの大きい)第2外ケーブルにより大きな雪荷重を支持することができました。

供用後の積雪深 1.85m の状況

■高欄に照明を設置 -利用者の利便と生態系への調和―

大巻どんど橋は吉野園地の吉野オートキャンプ場の利用者が夜間でも渡ることができよう高欄に照明を設けました。照明を設けるにあたり生態系に配慮した光害対策が必要とされました。そこで、足元を照らすフットライトをキャンパー場から見やすい下流側の片側のみに設置し平均照度を満足させるとともに光害対策を行いました。